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「膵炎様の症状」は膵癌のサイン? [消化器科]

慢性膵炎の治療は、症状の再燃を予防するための禁酒や脂肪摂取量の抑制といった生活指導と、1985年に発売された蛋白分解酵素阻害薬のカモスタットメシル酸塩(商品名:フォイパン)の処方が中心だ。
現実的には、薬の処方だけで、長年、経過観察されているケースが多いが、大阪府立成人病センター消化器検診科主任部長(胆膵腫瘍内科)の中泉明彦氏は、慢性膵炎を診断した場合、常に膵癌発症の可能性も考慮して、定期的な画像検査を実施すべきだと考えている。

というのは、2005年に発表された厚生労働省の調査(主任研究者:産業医大消化器・代謝内科教授〔当時〕の大槻眞氏)で、膵石が見付かるなどして慢性膵炎と確定診断された患者1656例を8年間にわたって前向きに追跡したところ、慢性膵炎の患者は一般集団に比べて膵癌による死亡率が7.84倍も高いことが分かったからだ。

さらに中泉氏は、確定診断までには至っていなくても、“膵炎様症状”を呈した患者には注意を払うことが重要だと指摘する。
それは、上腹部痛や血清膵酵素の上昇などの膵炎様症状が出現した後、いったん沈静化するものの、しばらくすると膵臓癌が見付かったというケースを、中泉氏は経験しているからだ。

「膵炎様の症状は、腫瘍マーカーよりも早く表れる膵癌のサインと考えられる。
従って、膵炎様の症状が出たときに、腹部超音波、磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)、造影CTなどの画像検査を行えば、癌の早期発見につながる可能性がある」と中泉氏は話している。

出典  NM online 200.9.3
版権 日経BP社


肝がん発症に深く関わる遺伝子 [消化器科]

C型慢性肝炎に起因する肝がん発症に深く関わる遺伝子を発見 -個人個人の肝がん発症リスクが予測可能に-
肝細胞がん(肝がん)は、世界全体のがん患者の数の第7位を占め、死亡者数も第3位で、深刻な「がん」として知られています。この肝がんは、厚生労働省の2010年厚生労働省の人口動態統計では、日本人の死亡患者数が3万人を超え、その約7割がC型肝炎ウイルスの持続感染によって引き起こされています。しかし、これまで、C型慢性肝炎を起因とした肝がんの発症リスクが、男性、高齢者、肝線維化の進展した人が高い傾向があるとされていましたが、具体的な発症の仕組みについては十分に解明されていないままでした。

理研ゲノム医科学研究センター消化器疾患研究チームらは、ヒトゲノム全体に分布する約47万個の一塩基多型(SNP)を調べるゲノムワイド関連解析を駆使し、C型慢性肝炎に起因する肝がんの発症に重要な働きをする一塩基多型の「DEPDC5遺伝子」を発見しました。ゲノムワイド関連解析の解析では、肝がんを発症した212人と発症しなかった765人の日本人のC型慢性肝炎患者集団を調べDEPDC5遺伝子の遺伝子多型が、肝がんの発症に関連していることを発見し、さらに別の日本人のC型慢性肝炎集団についての調査でも、この遺伝子多型が肝がんと強い関係があることを突き止めました。

この遺伝子多型がもたらす肝がんの発症リスクはオッズ比1.96でした。つまり、C型慢性肝炎患者のうち、DEPDC5遺伝子多型を持つ人は発症する可能性は約2倍に高まります。また、このリスクは男性、高齢者、肝線維化の進展した人で、より高くなる傾向が分かりました。これまで明らかにすることができなかった肝がんの発症の仕組みの解明や、個人差のある発症のリスクの予測を可能にすることが期待されます。

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http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2011/110704_2/index.html

http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2011/110704_2/detail.html

大腸癌に対する便潜血反応の感度と特異度 [消化器科]

大腸癌に対する便潜血反応の感度と特異度
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0028/1/0028_G0000070_0024.html

厚労省がん研究班編/便潜血検査免疫法(検査精度)
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0028/1/0028_G0000070_0082.html


大腸癌検診時に便潜血陽性になった場合、便潜血の再検査はしてはいけない
■便潜血の再検は医学的に意味がありません。
自分の運命を左右しかねない便潜血も再検してはいけません。
便潜血が2回法である意味を考えてみて下さい。
1回では見落としがあるから2回目を行うのです。
2回目で陽性になったら、「ああ、見落としがなくて良かった」と考えるべきで、「1回目は陰性だったのだから再検しよう」と考えてはいけません。
1回目と2回目の結果が逆であっても同様です。
1回でも陽性がでたら陽性と判断するという条件で、大まかに言って、進行癌の発見率は1回法では70%、2回法では90%になります(3回法ならさらに発見率があがります)。
早期癌では発見率は50~60%に下がりますので、それこそ便潜血で発見できたら不幸中の幸いです。

■癌の前段階であるポリープの有病率は米国人の場合、50代で30%、60代で40%、70%で50%、80代で55%といわれています。日本人はそこまで多くはなさそうですが、大腸内視鏡を行った症例の30~50%にポリープが見つかり、3~5%に癌が発見されます。
ポリープの80%程度は腺腫で、癌化する危険をはらんでいます。
良性のポリープでなぜ便中から血液が検出されるのかというと、便が通過するときにポリープが便と一緒に引っ張られてポリープの茎部がちょっと裂けて出血すると説明されていますが、ポリープを有している人はたくさんいるので、ポリープ以外の場所からの出血で便潜血がたまたま陽性になり、それをきっかけにポリープが発見されるだけなのかもしれません。

■便潜血は確実に死亡率を減少させる(20~30%)ことが証明されている数少ない癌検診の優等生です。
便潜血の結果を無駄にしてはいけないと思います。

出典
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=60415


潜血陽性だったが、俺は痔があるからそれは大丈夫と患者さんから言われたら
■便潜血が陽性でも二次検査を受けないのであれば、便検査をやる意味自体がありません。
「痔を持っているからと言い訳して便潜血が陽性になっても放置するなら、検診を受ける意味自体がないから、大腸癌検診なんか止めてしまいなさい」と患者さんを突き放したくなりますが、患者さんは「痔を持っていても便潜血が陰性だったら安心できる」ので検診を受けていると思って、グッと怒りをこらえます。

■実際、「痔を持っていて以前からいつも便潜血が陽性にでるから、しばらく大腸癌検診は受けていないし、受ける気もありません」と言っていた私の中年の女性患者さんがある日腹痛を訴え、初めて便潜血検査を受けさせたら2日間とも陽性で、結局、大腸癌が見つかり、半年後に他界しました(進行癌の予後が現在よりも悪かった時代です)。
その苦い経験から、痔を言い訳にして大腸癌検診を受けない患者さんにも一応便潜血検査を勧めるようにしています。
痔の状態が良い時に、あるいは痔の薬を処方して痔の状態をかなり改善させてから採便をするように指導します。
便潜血が陰性ならばそれは良いことですし、もし陽性になったら、痔があったとしても、大腸癌や大腸ポリープの頻度の高さやポリペクトミーによる大腸がん予防効果の高さを説明して一度も大腸内視鏡をやったことがなければ内視鏡検査(せめて注腸か大腸CT)を勧めます。
それでも難色を示すのなら、「出血が続くような痔はきちんと治しておかなければ駄目です」といって肛門科の専門病院を紹介して、便潜血が正しく判定できるようになるまで治療してもらってから便潜血検査をやりなおします。

■実際のところ、患者さんの痔の状態がひどければ自ら肛門科を受診する場合が多いので、肛門科に通院していないのに「痔があるから便潜血検査ができない」あるいは「便潜血が痔のせいで陽性にでた」という患者さんは、実際は便潜血検査やその判定に支障があるほどの痔を持っていないことも多々あります。
「痔を持っているから陽性に出たんだ」と自分に言い聞かせて安心感を得たいだけなのです。

■全ての助言を拒否されたら、何があっても自己責任ですよと伝えて納得してもらいます。
医者は誠意と医学的知識をもって治療の選択肢をアドバイス(あるいは説得)するのが仕事であって、治療を選択するのは患者さん自身だと思いますので。

出典
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=60457


便潜血陽性で大腸がんや大腸ポリープが見つかる可能性は何%くらいあるのでしょうか?便潜血陽性率というのは何%ほどなのでしょうか?疑陽性は何%くらいなのでしょうか?
便潜血陽性で大腸がんや大腸ポリープが見つかる可能性は何%くらいあるのでしょうか?
大腸癌が見つかる可能性は3%前後(1~5%)、大腸ポリープが見つかる可能性は50~60%程度と言われています。

便潜血陽性率というのは何%ほどなのでしょうか?
5%前後と言われています。
「痔のある人で5%、痔のない人で4%」という報告もあり、痔があってもやはり便潜血検査は受けるべきで、陽性反応が出たら、直腸癌の可能性もあるので、やはり要精密検査でしょう。

疑陽性は何%くらいなのでしょうか?
 上記のデータから引き算をすると、大腸癌の偽陽性率は97%、大腸ポリープの偽陽性率は40~50%ということになります。大
腸ポリープ発見率の高さ、大腸ポリープの多くが大腸癌への進行途上(数年後に癌!)にあること、ポリペクトミーで大腸癌を予防できること、などを考慮に入れると、大腸内視鏡をする必要性を感じられるのではないでしょうか。

出典
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=61663

先天性胆道拡張症 [消化器科]

胆石・胆嚢癌
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hiromu/new_page_17.htm
■先天性総胆管拡張症(先天性胆管嚢腫):
Ⅰ型 総胆管嚢胞状拡張症、
Ⅱ型 胆管憩室、
Ⅲ型 十二指腸内胆管嚢腫
に分類(Alonso-Lejの分類)されるが、Ⅰ型がほとんど。
総胆管膵管合流異常の合併することが多い。
主症状は黄疸、腹部腫瘤、腹痛が3徴。下部胆管の炎症、閉塞をくり返し、悪性病変を合併することがある。

■先天性肝内胆管拡張症:Caroli病(先天性、家族性の小葉間胆管の拡張)


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先天性胆道拡張症
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%88%E5%A4%A9%E6%80%A7%E8%83%86%E9%81%93%E6%8B%A1%E5%BC%B5%E7%97%87

先天性胆管拡張症
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I60700.html

肝線維化マーカー [消化器科]

コラーゲンを主成分とする線維組織は細胞と細胞とを結びつける働きをしています。
通常、生体におけるコラーゲンは産生と分解を繰り返しながら一定のバランスを維持していますが、病的条件下ではそのバランスが崩れ線維化が生じます。

肝線維化は主に肝炎ウイルスやアルコールによる炎症に伴って起こり、特に炎症が慢性化した際に著明です。
また肝線維化を持つ慢性肝炎あるいは肝硬変からは肝細胞がんが発症しやすいことが分かっています。

肝線維化の診断は肝生検を行い組織学的に評価するのが最も正確ですが、定期的な血液生化学検査と画像検査により、ステージの進展を予測することができます。

ヒアルロン酸やⅣ型コラーゲンは肝線維化マーカーと呼ばれ、肝線維化にともなって血中で増加し、肝線維化の程度を推測することが可能な検査です。
血小板数も肝線維化の程度を鋭敏に反映し、簡便ですので日常診療で使用されています。
ヒアルロン酸は肝硬変、特にアルコール性肝硬変で高値を示すことから、肝硬変と非肝硬変との鑑別に使用されます。
Ⅳ型コラーゲンは肝線維化の比較的初期から上昇し、特にアルコール性の肝障害時に上昇します。
血小板数は正常な肝臓、肝炎、肝硬変と病状が進むにつれ減少することが報告されています。

これらの線維化マーカーを測定することにより、線維化がどの程度進んでいるかがわかります。
線維化が進むと、やがて肝硬変に至るため、線維化マーカーは肝硬変への進展の度合いを知るためにも重要な検査です。

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<参考サイト>
肝線維化マーカーについて教えてください。
http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/34.html


生活習慣の改善で大腸癌を予防 [消化器科]

約2割の大腸癌を予防可、5つの生活習慣の推奨遵守で
癌の既往がない50-64歳の男女55487人を対象に、5つの生活習慣因子(運動、胴囲、喫煙、飲酒、食事)に関する推奨と大腸癌リスクの関連をコホート研究で調査。推奨を遵守している因子が多いほどリスクの低下を認め、この集団が推奨をすべて遵守すれば23%の大腸癌を予防できたと著者らは推測している。
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/11/01/10818/

原文
Kirkegaard H et al. Association of adherence to lifestyle recommendations and risk of colorectal cancer: a prospective Danish cohort study.
BMJ. 2010; 341:c5504
http://www.bmj.com/content/341/bmj.c5504.abstract


低用量アスピリンで大腸がんリスク低下 [消化器科]

低用量アスピリンで大腸がんリスク低下,英メタ解析 数年間の服用で18年間の発生率24%減,死亡率35%減
胃がん,前立腺がん,乳がんなどさまざまながんの予防効果が指摘されているアスピリン。
大腸がんの予防に関してはこれまで高用量の服用が必要とされてきたが,英オックスフォード大学のPeter M. Rothwell氏らは,低用量でも大腸がんリスクを低下させることをメタ解析で明らかにし,Lancet10月22日オンライン版に発表した。

Long-term effect of aspirin on colorectal cancer incidence and mortality: 20-year follow-up of five randomised trials.
Lancet. 2010 Oct 21
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20970847


1日当たり75〜300mgを数年間服用することで,約18年間の大腸がん発生率が24%,大腸がんによる死亡率が35%それぞれ低下したという。

5年以上投与で近位結腸がんリスクが約70%低下
Rothwell氏らは,1980〜90年代に英国,スウェーデン,オランダで実施されたアスピリンが対象の五つのランダム化比較試験(RCT;Thrombosis Prevention Trial,Swedish Aspirin Low Dose Trial,Dutch TIA Aspirin Trial,UK-TIA Aspirin Trial,British Doctors Aspirin Trial)を対象に,メタ解析を実施。1日の服用量を75〜300mgと500〜1,200mgで分け,がんの部位別(近位結腸,遠位結腸,直腸)でも検討した。各試験の治療期間は中央値で2.7〜6.9年で,追跡期間は中央値18.3年間,大腸がん発生率は2.8%(391例/1万4,033例)となっている。


結果 略


以上のことから,同氏らは「75mg/日以上のアスピリンを数年間服用することで,長期にわたって大腸がんの発生率と死亡率を低下させた」と結論。
解析したRCTの対象者すべてが試験に先行して内視鏡検査を実施していたため,アスピリンの絶対的な有益性を多少損なうとしつつ,アスピリンによる近位結腸がん予防の重要性を強調している。
                            (小島 領平)
出典 MT pro 2010.10.28
版権 メディカルトリビューン社

<私的コメント>


<関連記事>
アスピリンによる大腸がんのリスク低下には長期・多量の服用が必要
アスピリンによる大腸がんのリスク低下を期待するには長期にわたってかなりの量を服用する必要があることを示すデータが,米ハーバード大学のグループにより Gastroenterology の 1 月号に発表された。
 
同グループは,1986年に登録された40〜75歳の男性医療従事者 4 万7,363人を前向きに追跡。2 年ごとにアスピリンの使用,他の危険因子,大腸がんの診断に関するデータを収集し,2004年までの大腸がんの全報告を確認した。
 
18年間の追跡で975人に大腸がんが確認された。
危険因子を調整後,アスピリンを週 2 回以上定期的に服用していた群は定期的に服用していなかった群と比べて大腸がんのリスクが低く,相対リスク(RR)は0.79だった。
しかし,有意なリスク低下には少なくとも 6 〜10年の服用が必要で(P=0.008),4 年以内に服用を中止した場合にはリスクの低下は認められなかった。
 
累積の平均服用量が多いことがリスク低下と関係していた。
アスピリン非使用群と比較した大腸がんのRRは,標準的なアスピリン錠剤の 1 週間の服用量が0.5〜1.5錠で0.94,2 〜 5 錠で0.80,6 〜14錠で0.72,14錠より多い場合で0.30であった(P=0.004)。
 
同グループは「大腸がんに対するアスピリンの利点を得るには,少なくとも 6 年間の継続服用が必要で,週14錠より多い用量で最大のリスク低下となる。このような用量を長期に使用することによる有害な影響の可能性を考慮する必要がある」と指摘している。

Chan AT, et al. Gastroenterology 2008; 134: 21-28.
出典 Medical Tribune 2008.2.7
版権 メディカルトリビューン社

慢性胃炎 [消化器科]

再掲:萎縮性胃炎とは何か
http://blog.ukawaiin.com/2010/01/blog-post_07.html

MRIC: 臨時 vol 89 「組織学的胃炎と内視鏡的(形態学的)胃炎について」
http://mric.tanaka.md/2008/07/07/_vol_89.html

慢性胃炎
http://202.216.128.227/%93%A7%90%CD%95S%89%C8/19.6.htm
内視鏡的萎縮と組織学的萎縮との比較
http://202.229.64.149/gakkai/ddw2007/ddw07_a.html
PDF] Microsoft PowerPoint - 消化器講義.ppt [互換モード]
http://ocw.nagoya-u.jp/files/69/note_2.pdf
胃炎と胃がん
http://www.kurokawa-iin.com/ienno.htm

胃粘膜腫瘍(SMT)    未完 [消化器科]

定義
主病変が周囲粘膜と同様の粘膜に覆われて半球状または球状に管腔内に突出した病変を総称する臨床的名称

■大きなものは出血、腹痛、腫瘤触知などの症状を有するが、ほとんどは無症状である。
(消化管造影や内視鏡検査で偶然発見されることが多い)
■上皮性、非上皮性、炎症性に大別され、実際にはGIST、悪性リンパ腫、カルチノイド、迷入膵などが考えられる。




引用および参考文献
medicina vol.43 no.12 2006 増刊号 P123~125



SMA(上腸間膜動脈)症候群 [消化器科]

▼SMA症候群の概念
SMA(上腸間膜動脈)症候群は、 十二指腸水平脚がSMA(上腸間膜動脈)によって圧迫されることにより閉塞し(イレウス)、 嘔吐や腹部膨満などの腸閉塞症状を引き起こす疾患です。
1842年にRokitanskyにより初めて報告された。
急性に起こることもあるが多くの場合慢性間欠的であり、15~30歳の比較的若い痩せ型の女性に多いとされる。

SMA症候群をきたす要因として、急激な体重減少がある場合があり、 神経性食思不振症など摂食障害の患者に見られたりします。

十二指腸水平脚とSMA(上腸間膜動脈)との間には脂肪組織があり、それがクッションの役割を 果たしています。
そのため通常は閉塞まで至ることはないですが、体重減少により脂肪が減少すると、 そのクッションが取り除かれることとなり、十二指腸閉塞を来たします。

SMA症候群をきたす要因として、
1)SMAと腹部大動脈の分岐角が通常よりも鋭角であること。
これは痩せた体型とか内臓下垂、脊椎前彎の増強、腹壁の弛緩などの体格的な因子によって起こる、
2)飢餓、重篤な火傷や外傷、神経性食欲不振症などで急激に体重が減少し、腸間膜の脂肪が減少すること、
3)Trize靭帯の高位付着や腸管の回転異常など先天的な異常の存在、
4)体幹ギプスにより脊椎が過伸展された状態で固定されること、などがあげられている。

▼SMA症候群の症状
食事摂取により増強します。
十二指腸閉塞なので、嘔気・嘔吐(胆汁性)、胃部の膨満感、腹痛などを来たします。
これらの症状は腹臥位や左側臥位、胸膝位で軽快し、仰臥位で増悪します。

▼SMA症候群の診断
<腹部立位単純X線>
十二指腸水平脚の閉塞による胃十二指腸の拡張のため、double bubble signを認めます。

<造影X線写真>
十二指腸水平脚での閉塞による胃の拡大、十二指腸以降への造影剤の流れが見られないことが確認できます。
十二指腸近位部の著明な拡張と水平脚中央で認められる急激な断列像、逆蠕動、造影剤の振子運動(tonand fro peristalsis)などが特徴。

<造影CT>
SMAと大動脈との解剖学的な位置関係が確認でき、また、十二指腸水平脚での閉塞が明らかなこともあります。

<超音波検査>
SMAの走行および分岐角の測定が可能。
分岐角はSMA症候群で平均13度(5~18 度)、正常人で平均33度(15~50度)とする報告があります。

▼SMA症候群の治療
まず保存的治療を行います。
十二指腸閉塞なので、基本的にはイレウスと同様で、胃内容物を取り除くためにチューブを入れ、絶食とします。

栄養は、中心静脈栄養とすることが多いです。
慢性型では、食事を少量ずつ数回に分けて摂取し、食後には腹臥位や左側臥位をとるように指導します。
また、仰臥位はSMAによる十二指腸の締め付けを強くすると考えられるので、 出来るだけ座位などを取るようにします。

急激な体重減少を契機に発症した場合には、体重の増加に伴い閉塞は解除されます。

出典
SMA(上腸間膜動脈)症候群
http://kokushinado.ame-zaiku.com/gastro/2_smasynd.html
上腸間膜動脈性十二指腸閉塞(上腸間膜動脈症候群)
http://mymed.jp/di/gse.html

<追加>
*上腸間膜動脈症候群は一般的には慢性間欠性の腹痛を呈することが多く、大多数の症例でるいそうが認められる。
*るいそうが原因の場合、治療は栄養改善が主体になるが、急激に栄養投与を開始するとrefeeding症候群を生じることがあるため。十分な注意が必要である。また背景には摂食障害があることが多いため、その評価も忘れないようにしたい。

出典 日経メディカル 2010.9 P127
版権 日経BP社

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