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長期処方で容態変化見落とし [その他]

【日医総研】長期処方で容態変化見落とし 厚労省に実態把握要請
日本医師会総合政策研究機構は、長期処方によって、患者の容態変化の発見が遅れる危険性を警告する報告書をまとめた。
「慢性疾患等の患者に対する処方期間が非常に長期化しているために、深刻な問題が生じていることが浮かび上がった」とし、厚生労働省に全国レベルでの実態把握を求めている。
 
調査は、北海道茨城群馬千葉広島福岡の6道県の病院と診療所の医師を対象に、昨年10月1日を基準日として、アンケート方式で実施した。
 
最も多い処方期間の設問では、「5週以上」とした医師が27・3%と3割近くあり、「12週以上」も11・9%あった。慢性疾患患者に限ると、最多期間を「12週以上」とした医師が26・1%に達し、病院医師37・1%、診療所医師6・5%と病診格差も見られた。
 
慢性患者に長期処方する理由では、病状の安定や患者からの要望が多かった。
ただ、病院医師の場合は、「外来患者を少なくして、じっくり診療できるようにするため」も38・0%あり、診療所医師の27・2%より多かった。
 
また、疾病と薬剤の組み合わせでは、「5週以上」の処方で多いのは、高脂血症に対するHMG‐CoA還元酵素阻害剤の38・5%、高血圧症に対するジヒドロピリジン系Ca拮抗剤の34・2%で、いずれも「8週以上」処方している医師が5割近かった。
 
長期処方の問題点については、他院での処方を含めた「5週以上」の患者で、過去1年程度での経験を尋ねたところ、患者の服薬中断などによって病状が改善しなかったことのある医師が35・8%、容態変化の発見が遅れたことのある医師が18・0%だった。
 
具体的な事例では、多量服薬による急性薬物中毒や、ワーファリン投与を患者の判断で注意したため、血栓弁で心不全状態となって再手術した経験、次回の診療予定日まで受診を控えて増悪した症例などの報告があった。


細胞増殖制御の遺伝子 [がん]

細胞増殖制御の遺伝子 がん治療に期待と名大
細胞増殖の制御にかかわる遺伝子を突き止めたと、名古屋大学院理学研究科の花房洋助教(生命理学)らが18日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
異常な増殖による細胞のがん化の予防や治療に役立つ可能性があるという。

「LRRK1」と呼ばれる遺伝子。
パーキンソン病に関連する遺伝子と似た構造だが、働きは解明されていなかった。

花房氏らは、LRRK1の数を減らした人の細胞を作製。
主に皮膚にある成長因子「EGF」がこの細胞を増やす過程を電子顕微鏡で観察したところ、増殖の"指示"を送り続けた状態になっていることを確かめた。

EGFは通常、細胞膜の受容体と結合して活性化し、細胞を増やした後は細胞内に取り込まれて分解され、増殖の指示はオフになるが、実験では活性化したまま細胞膜周辺にとどまり、分解されなかった。LRRK1がEGFの分解をコントロールしているとみられるという。

既に実用化されている肺がん治療薬イレッサは、EGF受容体の活性化を抑え、がん細胞の増殖を防ぐ。今回の研究成果は、これとは別の新しい治療法開発につながる可能性があるという。

m3.com 一般医療ニュース
出典 共同通信 2011.1.19
版権 共同通信社


オステオプロテゲリンによる2型糖尿病患者の予後判定 [糖尿病]

オステオプロテゲリンは2型糖尿病患者の死亡の強い予測因子
血中オステオプロテゲリン(OPG)高値は2型糖尿病患者の死亡の強力な予測因子であると,デンマークのグループがDiabetes Careの12月号に発表した。

OPGは血管平滑筋細胞によって産生される骨関連グリコペプチドで,血中OPG高値は動脈の損傷を反映している可能性がある。
同グループは,2型糖尿病患者283例(平均年齢53.9歳)を中央値で16.8年間追跡。登録時の血中OPG値と全死亡および心血管死との関係を検討した。

追跡中に193例(68%)が死亡した。尿中アルブミン排泄率(UAER),推算糸球体濾過量,既知の危険因子を調整した結果,血中OPG高値は全死亡の強い予測因子で,OPG低値と比較したハザード比(HR)は1.81であった。
OPG高値による全死亡の予測効果はN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド値とは独立し,UAER値別に分けた場合の全死亡予測にも有用であった。

193例中103例(53%)が心血管疾患による死亡で,血中OPG高値および中間値は心血管死を予測した(未調整HR 1.86と3.51)。
しかし,共変数調整後にはHRは有意ではなくなった。

原文
Reinhard H, et al. Diabetes Care 2010; 33: 2561-2566.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20929997

出典 MT Pro 2011.1.13
版権 メディカルトリビューン社



他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版)
井蛙内科/開業医診療録(4) http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3) http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/

就寝前の室内灯と高血圧,糖尿病リスク [循環器科]

就寝前の室内灯が高血圧糖尿病リスクを高める!? 米研究,メラトニンレベルの抑制を確認
ハーバード大学ブリガムアンドウイメンズ病院のJoshua Gooley氏らは就寝前の室内灯の利用がメラトニンの産生を抑制することを確認。
研究内容の詳細は3月発行のJCEMで発表される。
同氏らは,長期的に見た場合,高血圧や糖尿病リスクが上昇する可能性を指摘している。

シフト勤務者で健康への影響が危惧される
Gooley氏らは,18~30歳の健康人116人について,就寝前の8時間,5日間連続で室内灯を使用するグループと,ディムライト(薄暗い照明)を使用するグループに分け,30~60分ごとに血漿メラトニンレベルを測定した。
その結果,室内灯群では,約90分間,メラトニン産生時間が短縮した。

メラトニンは,脳の松果体で夜間に産生され,眠気,体温,血圧,グルコース恒常性などに関与する。メラトニンレベルが慢性的に低いと,いくつかのタイプのがんが増加し,メラトニン受容体遺伝子が2型糖尿病を引き起こすという報告がある。
同氏らは,夜間,室内灯に長年さらされるシフト勤務者に対する健康への影響を示唆する結果としている。

出典 MT Pro 2011.1.14
版権 メディカルトリビューン社


病院が医学部新設を構想 [その他]

病院が医学部新設を構想 東北の医師不足解消目指し
東北地方の医師不足解消を目指し、仙台厚生病院(仙台市)は12日、大学医学部を新設する方針を発表した。
設置先は東北福祉大(同)が最有力。厚生病院は大学付属病院とする方向で、3月にも正式決定する。

医学部の新設認可は1979年の琉球大を最後に認められていないが、文部科学省は昨年12月、新設などを議論する専門家会議を設置した。
厚生病院の構想実現には政府の方針転換が大前提となるが、文科省によると、病院が医学部新設を目指す動きは「聞いたことがない」という。

構想によると、新設医学部の定員は80~100人を想定し、うち半数程度は東北6県の学生枠とする。
学生の出身自治体から奨学金を受けられる制度も導入したい考えで、宮城県内のほかの病院にも連携を呼び掛ける。

東北福祉大は看護福祉分野で養成課程が充実しており、教員として医師が配置されていることなどから最適と判断したという。
大学側から前向きな回答を得ており、厚生病院は「2年以内には学生を受け入れる体制を整えたい」とした。

目黒泰一郎理事長は「東北の地域医療を救済するため『臨床第一主義』の医学部を目指したい」と話した。

m3.com 医療ニュース
出典 共同通信 2011.1.12
版権 共同通信社

<私的コメント>
これってどうですか。
何だか、物事の順序だ違うような気もします。
東北地方のの総意なのかも疑問です。
かつて新設された国立大学医学部(秋田大学、山形大学)の卒業生の多くが、秋田県や山形県から卒業後去っていく実態があります。
そういったことを設置者である国側はどうように考えているのでしょうか。

血中β2−マイクログロブリン測定の意義 [腎臓病]

赤血球を除く全身の有核細胞表面に広く分布。
主にリンパ球や間葉系細胞から分泌されると低分子のため自由に腎糸球体基底膜を通過。
約99.9%以上が近位尿細管かた再吸収・異化を受けることが知られている。
通常、尿中にはわずかな量しか排泄されない。






出典  日本医事新報  No.4519 2010.12.4 P78-79
版権  日本医事新報社

膀胱がん [泌尿器科]

膀胱がん 前臨床モデル活用で臨床試験をより最適に
クリーブランドクリニック(オハイオ州クリーブランド)Taussigがん研究所のDerek Raghavan博士は「膀胱がんに対する異種移植片や膀胱がん細胞株などでは特に,前臨床モデルが臨床試験のデザインを改善するうえで役立つ」とScience Translational Medicine(2010; 2: 22ps11)に発表した。

膀胱がんは,悪性固形腫瘍の優れたモデルであるが,分子生物学的側面の解明が進んでいるにもかかわらず,過去20年間の治癒率は足踏み状態である。

同博士は,前臨床モデルを活用する利点について,
(1)標的治療法の組み合わせによって予想外の転帰を生み出すことが把握できる
(2)患者に対し有害となりうる治療法を回避できる
(3)新薬に関する試験において組み入れ基準にミスが生じないようにするうえでも役立つ
―などを挙げている。

出典 MT Pro 2010.5.13
版権 メディカルトリビューン社


アスピリンと癌による死亡リスク [その他]

アスピリンは癌、特に消化器癌の死亡リスクを下げる
75mg以上のアスピリンを毎日服用することにより、癌死亡、特に消化器癌による死亡のリスクが有意に低下すること、その利益は使用開始から5年を過ぎると明らかになることが、英Oxford大学のPeter Rothwell氏らが行ったメタ分析で明らかになった。
論文は、Lancet誌電子版に2010年12月7日に掲載された。

先進国では、癌の生涯リスクは約40%といわれている。
癌の治療技術は進歩しているが、予防薬の研究は遅々として進まない。
アスピリンについては、長期的な使用が一部の癌、特に消化器癌のリスクを低減する可能性が報告されていたが、人を対象とする研究では明確な結果は得られていなかった。

著者らは先に、無作為化試験に登録された患者の追跡データを分析し、アスピリンを5年以上にわたって毎日服用すると大腸癌の罹患と死亡のリスクが低下することを明らかにした(Lancet誌2010年10月22日号)。

参照
低用量アスピリンで大腸がんリスク低下 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29


続いて今回は、さまざまな癌による死亡にアスピリンが及ぼす影響を調べた。

血管イベントの一次予防または二次予防におけるアスピリン常用の有効性と安全性を評価した無作為化試験の中から、計画された投与期間が4年以上だった研究8件を選んだ。
適用されたアスピリンの用量は75mg/日から1200mg/日まで幅広く、対照群には、偽薬または他の抗凝固薬、もしくはそれ以外の抗血栓薬が投与されていた。

以下、分析はintention-to-treatで行った。

選出された8件の研究は、計2万5570人の患者を登録しており、うち674人が癌で死亡していた。
報告されていたデータをメタ分析したところ、アスピリンへの割り付けは試験期間中の癌死亡を有意に減らしていた。
プールしたオッズ比は0.79(95%信頼区間0.68-0.92、P=0.003)。
アスピリンの用量が75〜100mg/日だった試験のデータに限定すると、オッズ比は0.81(0.68-0.97、P=0.03)になった。

癌死亡の減少はアスピリン群の全死因死亡も有意に減らしていた。
オッズ比は0.92(0.85-1.00、P=0.047)。アスピリン群の癌以外の原因による死亡リスクは対照群と同様だった(オッズ比0.98、0.89-1.07、P=0.63)。

個々の患者の生存期間に関するデータが得られた7件の試験(2万3535人の患者、癌死亡は657人)を対象に、Kaplan-Meier法を用いて癌による累積死亡率を推定したところ、アスピリン群の癌死亡のハザード比は0.82(0.70-0.95、P=0.01)になった。

アスピリンの利益は割り付けから5年以上経過すると明らかになった。
すべての癌についてのハザード比は0.66(0.50-0.87、P=0.003)。
5年未満の場合は0.86(0.71-1.04、P=0.11)。

癌の原発部位を知ることができた6件の研究(1万9824人の患者、癌死亡は627人)のデータを分析したところ、消化器癌のハザード比は、割り付けから5年以上追跡された患者群で0.46(0.27-0.77、P=0.003)、5年未満の追跡では0.96(0.67-1.38、P=0.81)となった。
非消化器系の固形癌は、5年以上追跡してもハザード比は0.76(0.54-1.08、P=0.12)で、リスク低下は有意にならなかった。

英国で行われた3件(1万2659人の患者、癌死亡は1634人)の大規模研究については、死亡診断書と癌登録を参照することにより、試験終了以降の長期追跡が可能だった。
癌死亡の20年リスクはやはりアスピリン群で低く、すべての固形癌による死亡のハザード比は0.80(0.72-0.88、P<0.0001)、消化器癌による死亡のハザード比は0.65(0.54-0.78、P<0.0001)になった。

アスピリンの利益は、計画された治療期間が長いほど大きかった(交互作用のP=0.01)。
治療期間が1〜4.9年の場合には、固形癌による死亡のハザード比は1.06(0.82-1.39、P=0.62)、5〜7.4年では0.79(0.70-0.90、P=0.0003)、7.5年以上は0.69(0.54-0.88、P=0.003)で、消化器癌に限定すると、7.5年以上追跡した場合の死亡のハザード比は0.41(0.26-0.66、P=0.0001)になった。

そこで、5年以上の治療が計画されていた1万502人(癌死亡は1378人)について分析を続けた。
消化器癌による死亡の20年リスクはアスピリン群で35%低く(ハザード比0.65、0.53-0.78、P<0.0001)、アスピリン常用による消化器癌死亡の絶対リスク減少率は2.18%(1.14-3.22%)だった。
利益は小さいが、非消化器系固形癌による死亡の20年リスクも有意に低下していた(ハザード比0.79、0.69-0.91、P<0.0001)。

罹患率が高い癌について、Kaplan-Meier法を用いてアスピリン群と対照群の癌死亡率を比較したところ、食道癌、膵癌、脳腫瘍、肺癌は両群間に差が認められるようになるまでに約5年、胃癌、大腸癌、前立腺癌は10年以上を要していた。

死亡リスク低減は、アスピリンの用量の影響を受けず、性別、喫煙歴とは無関係だった。
しかし年齢はリスク低減幅に影響を与えていた。
割り付け時の年齢で患者を層別化し、アスピリン群のあらゆる固形癌による20年間の死亡の絶対リスク減少率を推定したところ、55歳未満では1.41%(-0.74%から3.56%)、55〜64歳では4.53%(2.06%-6.99%)、65歳以上は7.08%(2.42%-11.74%)で、年齢と共に上昇していた。

肺癌と食道癌による死亡例について組織型を調べたところ、アスピリンの利益は腺癌に限定されることが明らかになった。
20年リスクの低下は、肺腺癌死亡が45%(ハザード比0.55、0.33-0.94、P=0.04)、食道腺癌死亡は64%(0.36、0.21-0.63、P=0.0001)だった。

著者らは、すべての固形癌に見られたアスピリンの死亡リスク低減効果は、実は組織学的に腺癌と診断された患者と、腺癌が多くを占める原発癌(胃癌や膵臓癌など)の患者の死亡が減少したことによると考えている。

75mg/日以上のアスピリンの常用は、試験期間中とその後の癌死亡リスクを低減していた。
分析対象となった試験はさまざまな集団を登録しており、得られた結果は一般化できると考えられた。著者らは、得られた知見は、癌の発生過程と易罹患性に関する理解を深め、予防的介入法を開発するために役立つと考えている。
                    大西 淳子=医学ジャーナリスト
原文
Effect of daily aspirin on long-term risk of death due to cancer: analysis of individual patient data from randomised trials
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)62110-1/abstract

出典 NM online 2010.12.30
版権 日経BP社


乳がんのリンパ節転移診断

磁性ナノ粒子を利用した分子イメージングに期待
近年,乳がんではセンチネルリンパ節生検を行うことにより,不要な腋窩リンパ節郭清を省略することも可能になってきた。
リューベック大学医療工学研究所のThorsten Buzug教授らは,同リンパ節の検索を,従来のラジオアイソトープの代わりに磁性ナノ粒子を用いて行う方法を研究しており,同法についてドイツ連邦教育研究省(BMBF)発行のNews Letter(2010; 44: 7-8)で説明。
さらに,そのための新型スキャナの開発を進めていることも発表した。


90%で予防的郭清は不要
ドイツでは,乳がんの新規罹患者は年間5万7,000人以上にのぼる。
患者の多くは乳房の完全切除が不要で,70%以上が乳房温存術を受けている。
乳房温存術では,腫瘍と腫瘍周囲の正常組織を安全域として切除するが,これまでは,がん細胞がリンパ系を介して転移する可能性を除外するために,予防的に腋窩の全リンパ節を切除していた。
しかし,腋窩リンパ節郭清は手間と費用がかかるうえ,後遺症の原因ともなっていた。

Buzug教授は「腋窩リンパ節郭清は,重度の合併症を来す可能性があり,むくみや疼痛に苦しむ患者も多い。それにもかかわらず,予防的にリンパ節郭清を行った乳がん患者の約90%では,がん細胞のリンパ節転移は確認されていない。つまり,このような患者ではリンパ節の全切除は必要なかったと言える」と指摘している。

これを受け,約5年前からより侵襲の少ない治療選択肢として,センチネルリンパ節という特定のリンパ節だけを個別に切除する方法が施行されるようになった。


放射線被曝リスクのない方法
女性の乳房には数多くのリンパ管が走り,それらは他のリンパ系とつながっている。
がん細胞がリンパ液に乗って,腫瘍領域から最初に流れ着くのが,センチネルリンパ節である。
同リンパ節にがん細胞が見つかった場合には,既に周辺のリンパ節にも転移している可能性が高く,その一方でがん細胞が認められない場合には,ほとんどの患者で,残りの腋窩リンパ節の切除を省略することができる。
このように,センチネルリンパ節生検により,他のリンパ節の切除が必要か否かを判別することができる。

乳房と腋窩にある多数のリンパ節のなかからセンチネルリンパ節を見つける方法について,Buzug教授は「現時点では,核医学の専門医が術前に探し当てることが多い」と説明している。

同法では,腫瘍の近くに注入したラジオアイソトープが,乳房のリンパ管を通って最初に到着するリンパ節をセンチネルリンパ節とする。同教授はこの現状について「このような放射線を用いる方法では,放射線科の設備が完備されている病院でしか同リンパ節の決定と摘出を実施できない」と述べている。

そこで,今後期待されているのが,ラジオアイソトープの代わりに,磁性を帯びた微粒子,いわゆるナノ粒子を用いてセンチネルリンパ節を決定する磁性ナノ粒子イメージング(Magnetic Particle Imaging;MPI)である。
MPIでは,磁性ナノ粒子を乳がん患者の腫瘍内または腫瘍周囲に注入する。
従来のラジオアイソトープと同様,磁性ナノ粒子はセンチネルリンパ節に集まるため,注入後に体外から磁場を加えて画像を得る。

同教授はMPIの利点について「放射線被曝のリスクもなく,術中にセンチネルリンパ節を確実に決定し,迅速かつ正確に摘出することができる」と説明。
「今後の目標は,このMPIを用いて,より多くの乳がん患者にセンチネルリンパ節切除の機会を与えることだ」としている。


新型スキャナを試験中
Buzug教授らはこの目標に向けて,現在,新型のMPIスキャナの開発に携わっている。
シュレースウィッヒ・ホルシュタイン州立大学病院婦人科(リューベック)と共同で試験を行っており,従来の核医学的方法と比べてセンチネルリンパ節の決定,摘出の質が向上し,同時に費用も抑えられるか否かを検討している。

同教授は「新型MPIスキャナの特徴は,強い磁場を発生する励起コイルと微粒子の信号を検出する検出コイルがいずれも患者の片側にある点である。
このコイルの配設により,術中でもこれまでより迅速に使用できるようになった」と説明している。

同教授は「全身をMPIで検査するのは容易ではなく,まだ多くの課題が残されている。
しかし,これに成功したら,今よりも格段に多くの乳がん患者に低侵襲のセンチネルリンパ節切除を行うことが可能になるだろう」と期待を寄せている。

また,MPIは心臓の検査など乳がん以外の領域にも応用できると考えられており,既にマウスでは拍動する心臓の3次元画像の描出に成功しているという。


出典 Medical Tribune 2010.5.13
版権 メディカルトリビューン社

妊婦に安全な治療薬探し

妊娠高血圧症、治療薬探しに新型マウス 阪大開発
人の妊娠高血圧症候群に近いモデルのマウスづくりに、大阪大の医学部と微生物病研究所のチームが世界で初めて成功した。
このマウスで、高脂血症の治療薬のスタチンが母マウスの血圧を下げることも確認した。
妊婦に安全な治療薬探しにつながる成果だ。

妊娠高血圧症候群は妊婦の約1割が患う。
妊娠に伴って血圧が異常に高くなり、足がむくんだり血管が破れやすくなったりして、重症だと母子の命にかかわる。
胎盤の血管がうまく育たないことが原因の一つとされる。

伊川正人准教授(実験動物学)らは胎盤の血管を育ちにくくする遺伝子を着床前のマウスの胚に入れ、人の妊娠高血圧症と同じ症状を起こすマウスをまずつくった。
このマウスを妊娠させ、高血圧の発症前にスタチンを与えたら、血圧は妊娠中も正常の範囲にとどまった。
胎盤の成長も2割ほどよくなった。赤ちゃん体重も、スタチンを与えなかった母マウスの赤ちゃんと比べて15%重くなった。

スタチンは血液中のコレステロール値を下げる働きのほか、心筋梗塞や脳血管障害を起こしにくくすることが知られている。
ただ、いまの市販薬は赤ちゃんに奇形が生じる可能性があるとして、妊婦には原則として使えない。

今回のマウスは妊婦に安全な薬を探すのに役立つ。
伊川さんは「よりよい薬がみつかれば、日本だけでなく途上国でも周産期死亡を減らせるのではないか」と話す。 (権敬淑)

出典 asahi.com 2010.12.30
版権 朝日新聞社



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